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みなさん、こんにちは!特定技能の書類作成・人材管理システムを提供しているSMILEVISAです。
長年続いてきた「技能実習制度」について、政府内で見直しの議論が重ねられてきましたが、ついに技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を創設する方針が正式に決定されました。
「現在受け入れている技能実習生はどうなるのか?」
「転籍が認められると、企業の負担はどう変わるのか?」
「特定技能への移行は進めるべきか?」
このような疑問や不安を抱えている受入れ企業の人事・総務担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、技能実習制度から育成就労制度への移行に伴い、受入れ企業にどのような影響があるのか、今後どのような対応が求められるのかについて、最新情報をもとに随時更新しながら詳しく解説していきます。
なお、育成就労制度そのものの概要や制度の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
技能実習生・特定技能受入れ企業への影響や課題は?

育成就労制度の施行に関して、受入れ企業からはさまざまな声が上がっています。
「転籍が可能になることで、人材が定着しなくなるのではないか」
「これまでかけてきた受入れコストは回収できるのか」
「技能実習と育成就労、さらに特定技能が混在することで管理が複雑化するのではないか」
制度の理念としては、外国人材の権利保護や労働環境の改善が目的とされていますが、受入れ企業側にとっては、人材確保戦略や労務管理体制の見直しを迫られる大きな転換点であることは間違いありません。
特に、これまで「一定期間は同一企業で就労する」ことを前提に制度設計されていた技能実習とは異なり、育成就労制度では一定の条件下において転籍の仕組みが導入されます。そのため、企業側の人事戦略・定着施策・在留資格管理体制にも影響が及ぶことが想定されます。
本記事では、育成就労制度の転籍制度が企業の人事・労務管理に与える影響を整理し、在留資格管理・定着施策の見直しポイントを解説します。
受入れ企業において起こりうる主な課題
①転籍が認められたことにより、受け入れ時の負担費用の損失が発生する可能性
受入れ企業側は、技能実習生を受け入れる際に初期費用として少なくはない金額を負担しています。その後は長く実習を行うという前提が、育成就労制度の下では無くなる可能性が高く、転籍を早い時期にされた場合は、費用が無駄になってしまうという問題が発生します。
②転籍が認められたことによる地方での人手不足の深刻化
転籍が認められるのは、原則として育成就労制度の対象者です。技能実習制度においては、従来どおり原則として同一企業での実習継続が前提となります。しかし、今後育成就労制度で受け入れた人材については、一定条件のもと転籍が可能となるため、賃金水準の高い都市部へ人材が移動する可能性があります。
③永住許可の取り消しが可能に
技能実習に代わり育成就労制度が導入されることにより、特定技能1号、特定技能2号へ移行する外国人が増加することが見込まれています。その際に不法に滞在する外国人の増加も予想されるため、政府は改正法に、永住許可の取り消しに関する要件を追加しました。
たとえ永住権を取得した後であったとしても、下記の項目に該当すると永住権が取り消される可能性があります。
・故意に納税や公的な保険料の納付を怠る(納税義務の違反)
・在留カードの常時携帯しないなど入管法の義務に違反する
・日本の法律を守らない場合
通常通り、決まりを守って生活をすれば問題のない範囲とは言えますが、永住権を長い年月をかけて取得した場合にこのような厳しい処置がなされれば不法滞在や不法行為が減ると予想されています。

特定技能受入企業への影響
また、育成就労制度によって「人材の流れ」も大きく変わります。
① 人材供給ルートの変化
これまでの人材供給の主な流れは、「技能実習を修了した人材が特定技能へ移行する」という形でした。
しかし育成就労制度が開始されることで、育成就労(原則3年間)を修了した人材が、特定技能1号へ移行するというルートが主流になっていくことが想定されます。
つまり、将来的に特定技能として入社してくる人材の多くは、「育成就労修了者」である可能性が高くなります。
育成就労制度では、修了時に日本語能力A2相当以上、かつ技能検定3級相当レベルへの到達が前提とされる方向で設計されています。そのため、制度上一定の能力水準をクリアした人材が特定技能へ移行することになります。
結果として、特定技能へ移行する人材のスキルや日本語能力は、これまで以上に標準化・安定化する可能性があります。
② 転籍が制度前提に
技能実習制度では、原則として転職は認められておらず、一定期間は同一企業で就労することが前提となっていました。そのため、企業側は「在籍を前提とした育成計画」を立てることが可能でした。
しかし、育成就労制度では、一定の条件を満たした場合に本人の意思による転籍が認められる方向となっています。これは、制度上“転籍が起こり得ること”を前提とした設計に変わることを意味します。
つまり、他社に人材を取られる可能性が、例外ではなく制度上認められる状態になります。
特定技能受入企業にとっては、これまでのように内部育成から自然に特定技能へ移行させるという流れだけでは人材を確保し続けることが難しくなります。結果として、人材の囲い込みは難しくなり、待遇や労働条件、職場環境の差がこれまで以上に比較されるようになります。
③ 人材市場の“労働市場化”
これまでの制度では、多くの企業が「技能実習で一定期間育成し、その後特定技能へ内部移行させる」という流れを前提に人材戦略を組み立ててきました。いわば、企業側が計画的に人材を育て、継続雇用していくモデルです。
しかし、育成就労制度の開始により状況は変わります。育成就労では一定の条件を満たせば本人の意思による転籍が可能となり、さらに特定技能では原則として転職が認められています。
つまり今後は、企業が「育てた人材を前提として囲い込む」構造ではなく、外国人材が複数の選択肢の中から勤務先を選ぶ構造へと移行していきます。
これが、育成就労制度がもたらす最も大きな変化の一つと言えるでしょう。

【重要】企業に求められる管理体制の高度化
育成就労制度の開始に向けて、企業側が事前に整理しておくべきポイントは明確です。
・ 対象分野の確認
・監理支援機関の選定
・育成就労計画の作成体制の構築
・ 労務管理体制の見直し
・ 日本語教育体制の整備
これらは「準備段階」の対応です。しかし、本当に重要なのはその後の「管理体制」です。
企業には以下のような継続管理が求められます。
・日本語能力の目標管理
・技能評価試験の管理
・帳簿備付義務
・年次報告
・労働法令遵守の徹底
単なる雇用ではなく、評価・育成・報告を前提とした制度設計になっています。また、管理を怠った場合、企業側には育成就労計画の認定取消し等明確な行政リスクがあります。
コンプライアンス違反は、受入れ停止に直結する場合があります。
特定技能への移行管理
特に多くの企業が見落としがちなのが、「3年後の特定技能移行までの一貫管理」です。
必要になる管理項目は以下の通りです。
・在留期限管理
・評価試験管理
・随時報告対応
・賃金変更届出
・支援計画管理
ここで管理が煩雑化し、属人化しやすくなります。
技能実習制度の経過措置について
育成就労制度への移行に伴い、現在の技能実習制度については、一定期間の「経過措置」が設けられています。下の図は、施行日(令和9年4月1日)を基準に、「どのような場合に技能実習を継続できるのか」を時系列で示したものです。なお、本内容は法務省公表資料に基づいて作成しています。

出典:技能実習に関する経過措置のイメージ (法務省)
現在受け入れている技能実習生はどうなる?
技能実習の経過措置のイメージを以下に分かりやすくまとめます。
〈現在すでに受け入れている場合〉
施行日(令和9年4月1日)の時点で、
- 日本に在留している
- 技能実習を実施している
この条件を満たしている技能実習生は、経過措置の対象となり、施行日後も技能実習を続けることが可能です。要件を満たせば、以下のような段階移行も認められています。
- 1号技能実習生
→ 施行日後も2号技能実習へ移行可能 - 2号技能実習生
→ 施行日時点で2号を1年以上行っている場合に限り、3号へ移行可能
つまり、現在技能実習中であれば、直ちに帰国が必要になることはありません。
〈施行日前に技能実習計画を申請している場合〉
施行日前に技能実習計画の認定申請を行っている場合、その計画が施行日から3か月以内に開始される内容であることなどの条件を満たせば、施行日後に技能実習生として入国できる場合があります。
※技能実習計画が施行日後に認定されるケースもあります。
〈すでに技能実習を終了し、出国している場合〉
一方で、施行日前にすでに技能実習を修了し、出国している場合は、技能実習生として再度入国することはできません。ただし、過去の技能実習期間や職種によっては、育成就労外国人として再入国できる可能性があります。

特定技能受け入れ企業の対応に関するよくある質問(FAQ)
育成就労制度(2027年施行予定)下での特定技能受け入れには、技能実習の「労働力確保」から「育成・定着」への意識転換が必須です。制度移行や人材定着に直結する重要ポイントですので、ぜひ最後までご確認ください。
Q1. 育成就労では、本人の希望で転籍(転職)ができる?
A. 条件付きで可能です。 本人意向の転籍には、技能・日本語能力、転籍制限期間(原則1〜2年)、転籍先が優良であること等の要件が課されます。転籍は 同一業務区分内 が原則です。
Q2. 転籍が起きたら、受入れ時の初期費用は全部損になる?
A. 一定の補填が制度として用意されます。
本人意向転籍の場合、転籍先が転籍元へ一定の金額を支払う仕組みが設けられます(告示で金額等が定められる予定)。企業側は「補填がある=安心」ではなく、転籍を防ぐ定着施策+契約・説明の整備が重要です。
Q3. 育成就労は特定技能とどう違う?
A. 育成就労は“育成(3年)”、特定技能は“即戦力(1号5年、2号は上限なし)”です。
育成就労は入国時点で技能を求めない一方、計画に沿って技能・日本語を引き上げ、特定技能1号へ繋げる制度設計です。
制度改正は「戦略見直しのチャンス」
育成就労制度の開始は、単なる制度変更ではなく、受入れ企業にとって人材戦略と管理体制を見直すタイミングでもあります。何より重要なのは、管理体制の整備です。
転籍可能時期を正確に把握できるか、試験や特定技能への移行タイミングを管理できるかといった不安の多くは、「制度が難しいから」というよりも継続的に抜け漏れなく管理し続けなければならないことから生まれています。もし管理が属人化していれば、担当者の異動や退職がそのままリスクになります。
・在留期限を可視化する
・試験スケジュールや移行時期を一元管理する
・定期報告書類をスムーズに作成し、抜け漏れを防止できる
といった仕組みの有無が、今後の外国人雇用管理の安定性を左右します。
SMILEVISAは、特定技能・育成就労に関する書類作成と在留管理を一元化できるクラウドサービスです。
煩雑になりがちな外国人雇用の実務を整理し、担当者の負担軽減とリスク管理を同時に実現します。
また、制度移行を機に、即戦力となる特定技能外国人の雇用を検討される企業様も増えています。
特定技能外国人の受入れをご検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

※本記事は現時点(2026年2月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。