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日本の人手不足を背景に創設された「特定技能」制度。外国人の受け入れが拡大される中、「日本で働く外国人が家族を帯同できるかどうか」という点は、受け入れ企業の担当の方であれば一度は外国人に相談されたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、特定技能外国人が家族を日本に呼ぶことができるかどうか、最新の制度とその具体的な条件について解説します。
特定技能制度で家族の帯同は認められている?
特定技能外国人の家族帯同については、基本的には下記の通りとなっています。
特定技能1号の場合
原則として家族の帯同はできません。しかしながら例外もあり、例えば特定技能外国人同士に子が生まれ、人道的な理由において母子が離れることが望ましくないと判断された場合などは、「特定活動」として帯同ができるケースもあります。
特定技能2号の場合
次の条件を満たせば、配偶者・子どもの帯同が可能です。申請する在留資格の種類については「家族滞在」になります。また、在留資格の期限としては基本的には5年を超えない範囲となります。
その他在留資格の場合
そのほか、家族滞在の在留資格申請が許可されているのは下記の通りです。特定技能以外でも家族滞在の在留資格は申請できるため、チェックしておくことをお勧めします。
在留資格 | 主な対象 |
---|---|
教授 | 大学などの教員 |
芸術 | プロの画家・音楽家など |
宗教 | 宣教師など |
報道 | 外国報道機関の記者など |
高度専門職(1号・2号) | 高度な知識を持つ技術者・研究者など |
経営・管理 | 企業経営者など |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士など |
医療 | 医師・看護師など(条件あり) |
研究 | 研究機関の研究者 |
教育 | 小中高校などの教員 |
技術・人文知識・国際業務 | 一般的な技術職・事務職 |
企業内転勤 | 海外企業からの駐在員など |
介護 | 介護士 |
航空・船舶関係(技能等) | 航空機操縦士など |
技能 | 熟練した調理師・建築技術者など |

家族を呼ぶための手続きと必要書類
特定技能2号(もしくは特別な事情で特定技能1号)については家族帯同が認められていると先ほど解説しましたが、具体的にはどのような手続きをすればよいのでしょうか?下記わかりやすくまとめました。
必要なビザ(在留資格)
特定技能2号の外国人が家族を呼び寄せる場合、「家族滞在」の在留資格で申請します。今回は、初めて家族帯同の在留資格を申請する「在留資格認定証明書交付申請」のケースになります。
主な必要書類
書類名 | 詳細 | 部数・備考 |
---|---|---|
在留資格認定証明書交付申請書 | PDF、Excelの形式でダウンロード可能 在留資格認定証明書交付申請書(PDF:221KB) 在留資格認定証明書交付申請書(Excel:84KB) | 1通 |
写真 | 指定の規格に準拠。申請書に添付または写真欄に直接印刷も可。ただし、規格外の場合は再提出が必要 | 1葉 |
返信用封筒 | 宛先を明記し、簡易書留用の切手を貼付 | 1通 |
申請人と扶養者の身分関係を証する文書(いずれか1つ) | (1) 戸籍謄本 (2) 婚姻届受理証明書 (3) 結婚証明書(写し) (4) 出生証明書(写し) (5) 上記に準ずる文書 | 1通(適宜) |
扶養者の在留カードまたは旅券(パスポート)の写し | 1通 | |
扶養者の職業および収入を証する文書 | (1) 収入を伴う活動の場合: ①在職証明書又は営業許可書の写し等 ※ 扶養者の職業がわかる証明書を提出してください。 ②住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) ※ 1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でOK (2) その他の活動の場合 ①扶養者名義の預金残高証明書又は給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書 ②上記に準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの 適宜 | 各1通(適宜) |
※申請用紙については出入国在留管理庁でも配布しています。
提出先
最寄りの出入国在留管理庁(直接申請・郵送不可)
特定技能で家族を呼ぶ際の注意点

扶養能力の証明が必要
家族を帯同させるには、「生活を安定して支えられる経済力」が求められます。申請時には、扶養者本人(特定技能2号の在留者)の収入証明や納税証明書、職業を示す書類などを提出します。
- 年間収入や職業の安定性が重要視される
- 扶養人数に対して収入が不十分な場合、不許可の可能性あり
また、呼び寄せができる家族は下記の通りです。
対象家族 | 説明 | 備考 |
---|---|---|
配偶者 | 法律上の婚姻関係にある夫または妻 | 内縁関係や同性婚は原則として認められていません |
子ども | 実子または養子で、扶養関係にある未成年 | 一般的に18歳未満が対象。ただし成人でも扶養関係を立証できれば可能。 |
家族を扶養しながら日本で生活ができるかどうかを厳しく見られるため、内訳など説明する説明書など求められる場合があります。

書類の不備・誤記に注意
家族を呼ぶ際には多くの書類が必要です。たとえば、戸籍謄本や結婚証明書、出生証明書などの原本またはコピーが求められ、日本語以外の書類には日本語訳の添付が必須です。翻訳ミスや不備があると、審査が大幅に遅れる場合があります。不安な場合は行政書士等の専門家に依頼するのもおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q:内縁関係や事実婚でも家族滞在ビザを取得できますか?
A:原則として法律上の婚姻関係があることが必要となるため不可となります。また、基本的には配偶者と子のみとなるため、両親や兄弟、親せきなどの呼び寄せはできません。
Q:特定技能1号で例外的に家族を呼べることはありますか?
A:はい、日本で子を出産した場合など例外的に認められることがあります。また、配偶者が別の在留資格を取得するなどの方法もあります。例えば配偶者が特定技能1号や留学、技能実習等の在留資格で日本に一緒に滞在するというケースは多くなります。
Q:子どもの学校や医療制度は?
A:帯同してきた子どもも公立学校への通学や健康保険への加入が可能です。詳しくはお近くの地方公共団体までお問い合わせください。
まとめ
2025年現在、特定技能1号では原則として家族を日本に呼ぶことはできませんが、特定技能2号に移行すれば、配偶者や子どもを帯同することが可能になります。今後も制度の見直しや拡充が予想されるため、最新情報を定期的にチェックすることが大切です。
また、在留資格の変更や家族帯同の申請には、正確な書類と準備が不可欠です。不安な場合は、専門家への相談を検討すると安心でしょう。特定技能を受け入れる企業の担当者は、外国人が家族と日本で一緒に暮らすことを希望した場合はサポートをができるとよいでしょう。
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※本記事は現時点(2025年6月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。