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2025年5月、特定技能制度における工業製品製造業分野に関して大きな制度改正が行われました。これにより、製造業で特定技能外国人を雇用する全ての企業に対し、新たな一般社団法人(以下「新団体」)への入会が義務付けられることになります。
この記事では、制度変更の背景から、新団体の概要、加入スケジュール、手続き方法、今後の実務対応まで、特定技能を受け入れる企業のためにわかりやすく解説します。
2025年の制度改正で法人登録制度の創設と新団体への加入義務化へ

2025年5月26日付で公布・施行された「改正上乗せ基準告示」により、製造業分野での法人登録制度が新設されました。この変更に伴い、以下のような新ルールが導入されます。
- 工業製品製造業分野で特定技能外国人を雇用中/予定の企業は新団体への入会が必須
- 現在の製造分野の協議会はは年内で廃止予定
- 新団体への加入が在留申請時の必須要件となる
- これから特定技能を受け入れる企業は、6/30までは新旧の協議会(団体)両方への加入が必要
- 新しい団体では、会費が発生する
1. 工業製品製造業分野で特定技能外国人を雇用中/予定の企業は新団体への入会が必須
2025年7月以降、特定技能外国人を製造業で雇用する企業は、新たに設立される一般社団法人(新団体)への加入が義務となります。未加入の場合、在留申請などができなくなる可能性があります。
2. 現在の製造分野の協議会は年内で廃止予定
現在の「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」は2025年12月末で廃止され、今後は新団体がその機能を引き継ぎます。
3. 新団体への加入が在留申請時の必須要件となる
2025年末以降の在留資格関連申請では、新団体への加入証明が提出必須となる見込みです。協議・連絡会の名簿では対応できなくなります。また、名簿の仕様も不可となります。
4. これから特定技能を受け入れる企業は、6/30までは新旧の協議会(団体)両方への加入が必要
2025年6月末までに特定技能外国人の受け入れを開始する場合は、現行の協議・連絡会と、新団体の両方に加入する必要があります。新しい団体の未加入で良いというわけではないため注意しましょう。令和7年7月1日以降は新団体への加入のみでOKです。
現行の協議会の加入については、下記の記事で詳しく解説しています。
5. 新しい団体では、会費が発生する
これまで工業製品分野では協議会の加入に会費は発生していませんでした。しかしながら、新団体については会費が発生するとなっているため、経費についても留意する必要があります。
費用については下記の通りです。1事業所ごとに支払いが必要なので注意しましょう。
区分 | 業界団体に所属している(正会員) | 業界団体に所属していない |
---|---|---|
中小企業 | 60,000円 | 63,000円 |
大企業 | 80,000円 | 83,000円 |
※ただし2025年度は、賛助会員の年会費は半額となります。
今後、団体への加入に会費が発生することも考慮し、特定技能のコストカットの準備をしておくのもおすすめです。特定技能の受け入れについては自社支援によって大幅にコストカットが実現できるため、詳しくは下記の記事で解説しています。

新団体への加入スケジュール(2025年)
工業製品製造分野における新団体への加入に関するスケジュールは下記の通りとなっています。あくまで予定となります。
時期 | 内容 |
---|---|
令7年6月半ば | 協議・連絡会より新団体入会手続の案内開始 |
令7年6月下旬 | 新団体発足 |
令7年7月〜9月 | 入会手続き期間(※会費支払い含む) |
令7年10月以降 | 新団体の事業・活動が本格始動 |
令7年12月下旬 | 協議・連絡会名簿の廃止、新団体名簿へ移行在留申請時の提出書類も新団体名簿に基づくものへ変更予定 |
詳細はこちらの第13回 協議・連絡会の資料より確認が可能です。
具体的には、7月22日(火)までに申請完了、その後、申請内容に要確認事項があれば新団体事務局とやり取りをしたうえで、8月下旬以降に年会費納付の案内が届きます。その案内の内容にて、9月下旬までに振り込みを行う流れとなっています。令和7年10月以降に新団体の事業の本格開始となる見込みです。
工業製品製造分野の新団体への加入手続き
この新団体への加入について、具体的な方法についてはまだ発表されていません。予定では6月半ばから案内が届くことになっているため、詳細が発表され次第アップデートします。
工業製品製造分野の新団体加入についてよくある質問(FAQ)

Q1. 入会しないとどうなりますか?
→ 新団体への入会が義務付けられており、未加入の場合、特定技能外国人の新規雇用や在留延長ができなくなる可能性があります。すでに特定技能を受け入れている企業も、これから受け入れを予定している企業も必ず加入をしましょう。
Q2. 現行の協議・連絡会はどうなりますか?
→ 2025年12月をもって廃止予定です。今後は新団体がその機能を引き継ぐ形になります。しかしながら、現在の協議会に関しては自動的に切り替わるわけではないため、新しい団体に受入れ企業は再度加入する必要があるためご注意ください。
Q3. 新団体への加入について、全ての書類を出しなおす必要がありますか?
→令和7年7月1日以降、協議会への入会申請の結果にかかわらず、新団体への入会申請が必要です。しかしながら、同意があれば、協議会に提出した申請内容を新団体に引き継ぎ、手続きを簡素化することも可能とのことです。新団体への情報移行に同意すれば、協議会へ御提出済みの書類を新団体へ共有することで、新団体の入会手続を簡素化するとのことです。

まとめ
今回の制度改正は、製造業における外国人材の適正な受入れと支援体制の強化を目的としています。制度の変化に対応し、特定技能人材の雇用を継続するためには、2025年9月末までに新団体への加入を完了することが求められています。
現時点ではまだ情報が出ていないため準備できることなどは特にありませんが、引き続き本記事でもアップデート情報を更新しますので、是非チェックしてください!

※本記事は現時点(2025年6月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。