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自動車運送分野の特定技能1号の制度が開始され、多くの運送業の会社や、バス運転手、タクシー運転手において需要が高まっています。岡山県では、初の自動車運送分野のドライバー誕生のニュースも流れ、話題となっています。⇒NHK「特定技能」で全国初 外国人が観光バス運転手に
この記事では、特定技能外国人が日本の自動車運送分野で働く際に必要となる「外免切替(外国運転免許の切り替え)」について詳しく解説します。外国人本人はもちろん、受け入れ企業にとっても重要なポイントをわかりやすく解説していきます。
自動車運送分野で外国人が働くためには運転免許が必要
はじめに、自動車運送分野で特定技能1号外国人が働くためには当然ながら日本で有効な運転免許が必要となります。しかしながら、まずは特定技能としての在留資格が必要となるため、申請を行い、無事に申請が通った後に外免切替を行いましょう。自動車運送分野の要件や試験についての詳細はこちらの記事で解説しています。
多くの場合、最初から日本の運転免許証を取得している外国人が多くないことから、出入国在留管理庁では就労にあたって「外国の運転免許証を日本の運転免許に切り替える」ことができるとしています。これが、いわゆる「外免切替」です。

この「外面切替」は特定技能としての在留資格申請の後になるため、在留資格を得た後に外免切替を行う流れとなります。

外免切替とは?

「外免切替(外国運転免許の切替)」とは、外国で取得した有効な運転免許を、日本国内で有効な免許に変える手続きです。すべての国の免許が対象ではなく、国によって制度が異なり、一定の条件や審査が存在します。
外免切替の基本要件とは?
運転免許証を日本の者に切り替える際に、誰でもすぐに切り替えることができるわけではありません。外免切替のためには以下の条件を満たす必要があります。
- 有効な外国運転免許を所持していること
- 当該免許を取得した国に少なくとも3か月以上滞在したことがあること
そのため、特定技能1号を申請するために運転免許を取得し、短期間で母国を出国してしまうと外免切替ができなくなってしまうため注意が必要です。滞在期間については、免許証及びパスポートで確認できることが条件です。
これらの条件をすでに満たしている場合は、必要書類を揃え、運転免許センターで申請することができます。

特定技能の外免切替の手続きから申請までの流れは?
それでは具体的にどのようなステップで特定技能外国人が外免切替したらいいのか、わかりやすく説明していきます。

① 必要書類の準備
以下の書類が基本的に必要です:
- 有効な外国運転免許証(原本)
- 外国運転免許証の日本語翻訳文(JAF または大使館等によるもの)
- パスポート
- 在留カード
- 住民票(マイナンバーの記載がないもの)
- 証明写真(サイズは縦3cm×横2.4cm程度)
※国によっては追加書類(運転記録証明書など)が求められることもあります。国別の追加書類については、警視庁ホームページの資料「国別必要書類一覧」より確認が可能です。
②運転免許センターの予約をする
運転免許センターの予約については、県や地域によって予約制となっていたり、定められた時間内に書類を持参すればいいというパターンなど様々です。そのため、切り替えを予定しているセンターのウェブサイト等で事前に確認し、必要であれば予約をしておきましょう。
③運転免許センターでの手続き
- 書類審査
- 適性試験(視力検査など)
- 知識の確認
- 実技の確認(原付免許申請の場合は不要)
知識の確認と実技の確認については、福岡県警察のウェブサイトで下記の通り記載があります。
※知識の確認とは
法令で定める道路の交通の方法その他の自動車等の運転について必要な知識に関する質問を行います。
質問は、絵図面等(質問文付き)により10問行います。
※外国語(20言語)の問題を準備しています。
英語、スペイン語、ペルシャ語、韓国語、中国語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、タガログ語、ベトナム語、ウクライナ語、ネパール語、インドネシア語、ミャンマー語、クメール語、モンゴル語、シンハラ語、ウルドゥー語、アラビア語、ヒンディー語※実技の確認とは
試験場の場内コースで、自動車等の運転に関する実技の確認を行います。
引用:福岡県警察「外国免許からの切り替え手続き」より
特に実技試験が大きな壁になるケースが多く、日本独特の運転マナーや交通ルールへの慣れが求められます。
④ 免許交付
すべての試験に合格すると、日本の普通自動車免許が交付され、就労に必要な資格が整います。
※外免切替の際の持ち物やルールなどについては、各自治体などで異なる場合があるため必ず事前に該当する地域の運転免許センター等に問い合わせるようにしましょう。

外免切替における外国人のための通訳やサービスの有無について

特定技能外国人が免許の切り替えの手続きに行った場合は、言語面でのサポートなどはあるのでしょうか?
結論から言えば、個別の通訳・翻訳サービスなどは個別に設置されていませんが、県によっては外国人に対するサポートが用意されている場合もあります。また、知識の確認については外国語(20言語)の問題が準備されています。
こちらは一例ですが、福岡県の試験場においては、字幕表示システムの導入がなされており、2025年4月時点で134言語対応となっています。このように、地方自治体によっては外国人向けのサポートが設置されている場合もあるため、外免切替を希望する施設に問い合わせることをおすすめします。
また、外国人本人のみが手続きをすることが難しい場合については、受け入れ企業の支援担当者が同行してサポートすることが必要となるでしょう。
外免切替における国ごとの違いとは?
外免切替における知識確認および技能確認の免除対象国(例:ドイツ、フランス、韓国など)は、学科・実技が免除されるためスムーズですが、特定技能で来日する多くの国(例:フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ネパールなど)は免除対象外のため、必ず試験を受ける必要があります。
受入れ企業が特定技能外国人に対してできる外免切替のサポートは?
特定技能外国人が外免切替の手続きをすべて一人で行うことは日本語力や日本のシステムの理解度の関係からやや難しいケースがあります。その場合、受け入れ企業としてできるサポートについては以下のようなものがあります。
特定技能外国人に対する具体的な支援例
- 外免切替に関するガイドの多言語化(社内通訳翻訳より詳しく説明・同行等)
- 実技試験の対策講座や模擬練習の提供
- 学科試験対策(やさしい日本語での解説など)
- 免許取得までの生活支援(社員寮や交通手段の提供、外免切替の費用の負担等)
まとめ
自動車運送分野における特定技能外国人の雇用には、「外免切替」が最初のハードルとなります。しかしながら、外免切替ができれば日本で教習所に通い免許を取り直す必要がないため、時間もコストも大きな節約になるというメリットがあります。
これから自動車運送分野で特定技能外国人を受け入れていきたい企業は、事前にサポート体制を整え、スムーズな受け入れを実現しましょう。

※本記事は現時点(2025年4月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。