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みなさん、こんにちは!特定技能の書類作成・人材管理システムを提供しているSMILEVISAです。
令和6年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。
この改正により、これまでの 技能実習制度は発展的に解消され、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日から施行されます。
さらに、2026年2月20日には出入国在留管理庁より「育成就労制度運用要領」が公表され、制度の具体的な運用内容が明らかになりました。
本記事では、
- 育成就労制度とは何か
- 技能実習制度と何が変わるのか
- 企業にどのような影響があるのか
についてわかりやすく解説します。
「育成就労制度の内容は?技能実習はどうなるのか?」と疑問をお持ちの企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
育成就労制度とは?
2027年からスタートする「育成就労制度」は、日本の深刻な人手不足に対応するために新しく作られた制度です。
これまで日本には「技能実習制度」がありました。技能実習制度は「海外への技能移転(国際貢献)」を目的としていましたが、実際には人手不足を補う役割も担っており、制度の目的と実態のズレや人権面の課題が指摘されていました。そこで新たに作られたのが「育成就労制度」です。
そもそもの技能実習制度については、こちらの記事で詳しくまとめています。
これまでの技能実習制度については、国際貢献という意味合いが強く、技能の移転を目的としていたため、受入れ企業は人手不足の解消ではなく、研修や教育を行うというのが技能実習の大きな特徴でした。
育成就労制度では、次の2つを目的としています。
① 人手不足の産業分野で外国人材を確保すること
② 日本で働きながら、一定の技能を身につけてもらうこと
つまり、単なる労働力として受け入れるのではなく、「働きながらスキルを身につけ、将来的なキャリアアップにつなげる」制度になっています。
日本が外国人から「選ばれる国」となるためにも育成就労制度によって技能実習生の課題を解消し、特定技能制度へスムーズへ移行できるようにすることが理由とされています。
下記の図は、育成就労から特定技能1号、2号への移行を分かりやすく図式化したものです。

出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」より抜粋

育成就労制度施行による旧制度(技能実習制度)との変更点を比較

これから技能実習制度についてはどのように変化するのでしょうか?出入国在留管理庁の公式サイトにて2026年2月20日付で掲載された「育成就労制度運用要領」をもとに解説します。
また、出入国在留管理局より「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」において最終報告書、また「技能実習制度及び特定技能の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」が公表されていますので、下記わかりやすく比較表としてまとめました。
①技能実習と育成就労の位置付けと関係性
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・国際貢献の目的で、開発途上国などの外国人を受け入れ実務を通じてそれぞれの業種の技能を移転する ・技能実習での受け入れは最長5年間に限る。 | ・人材確保と人材育成を目的とする ・基本的に3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。 「人権保護」、「日本語力向上」、「適切な転籍」を重視。 |
ここで特筆すべきなのは、以前は技能実習とは国際貢献であり技能の移転が目的でした。しかし、今後は特定技能外国人と同様に、相当程度の知識・経験を要する技能人材の育成と育成就労産業分野における人材確保を実現すること。つまり、最終的には受け入れた労働者のスキルアップを目指し、希望者は特定技能へ移行することが前提になります。
②育成就労制度の受入れ対象分野や人材育成について
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・対象分野は、87職種159作業。特定産業分野と必ずしも一致はしていない。 ・技能検定試験(基礎級、随時3級、随時2級)や日本語能力試験などの必要な試験に合格すると技能実習2号、3号への切り替えが可能。試験不合格になった場合、再受検は技能実習期間中に1回まで。 | ・国内における就労を通じた人材育成になじまない分野は対象外となる。 ・季節性のある分野で、業務の実情に応じた受入れ形態等を検討。 |
旧制度では特定産業分野とは一致しない分野もありましたが、新制度では
①特定産業分野 → 特定技能で外国人受入れが認められる分野
②育成就労産業分野 → 特定産業分野のうち、育成目的で受入れが適当な分野
③労働者派遣等育成就労産業分野 → 季節的業務が必要で派遣形態が認められる分野
の3つに整理されています。
特定産業分野のうち、3年間の就労を通じた育成が相当な分野が育成就労制度での受入対象になります。
③育成就労制度の受入れ見込数
受入れ見込数が分野別の上限を超えると判断された場合、所管大臣は、法務大臣に対して在留資格認定証明書の交付停止を求めるほか、法務大臣および厚生労働大臣に対し、育成就労計画の新規認定を一時停止する措置を要請します。その結果、一定期間、新規の受入れができなくなる可能性があります。
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・受入れ見込数の設定があるが、プロセスが不透明 ・実習実施者に対し、技能実習生の受け入れ人数上限が定められている。 ・受け入れ人数は受け入れ企業、職種などの条件によって異なる。 | ・受入れ分野ごとに受入れ見込数を設定(※受入れの上限数が設定される) ・受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて柔軟に変更、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断する。 |
<育成就労分野別受入れ見込み人数(対象:2027〜2028年度の2年間)>
| 分野 | 育成就労 見込人数(案) |
|---|---|
| 介護 | 33,800人 |
| ビルクリーニング | 7,300人 |
| 工業製品製造業 | 119,700人 |
| 建設 | 123,500人 |
| 造船・舶用工業 | 13,500人 |
| 自動車整備 | 9,900人 |
| 宿泊 | 5,200人 |
| 鉄道 | 1,100人 |
| 農業 | 26,300人 |
| 漁業 | 2,600人 |
| 飲食料品製造業 | 61,400人 |
| 外食業 | 5,300人 |
| 林業 | 500人 |
| 木材産業 | 2,200人 |
| リネンサプライ | 3,400人 |
| 物流倉庫 | 6,900人 |
| 資源循環 | 3,600人 |
| 合計(育成就労) | 426,200人 |
参照: 特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案) (法務省)
育成就労の対象分野である「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野は、2027年から特定技能の分野にも追加される予定です。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
④育成就労制度での転籍・転職について
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・原則認められない | ・暴行・ハラスメント、悪質な違反などやむを得ない場合の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化 ・一定の条件下で、本人の意向による転籍が可能に 【本人の移行による転籍に必要な条件】 ①同一の期間において就労した期間(1年~2年)を超えている。 ②技能検定試験基礎級等・一定水準以上の日本語能力に係る試験(日本語能力A1相当の水準から、特定技能1号移行時に必要となる日本語能力水準までの範囲内を想定)に合格 ③転籍先が、適切であると認められる一定の要件を満たしている。 それに伴い、 ・転籍前企業の特定技能受入れ初期費用負担を考慮し、不平等が生じないための措置を講じる ・監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。当分の間、民間の職業紹介事業者の関与は認めない。 |
これまで技能実習生は一度入社した受入れ企業から転籍することは不可とされていました。しかし、改正後は、やむを得ない事情や一定の条件下で転籍が可能となりました。かつ、転籍前企業には不平等が生じないように措置が取られることも検討されています。
⑤監理・支援・保護の在り方
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・各管理団体、技能実習機構、登録支援機関において、質や支援の体制にばらつきがあり、不十分な面がある。 | 監理支援機関・登録支援機関 ・独立性・中立性を保つため、監理団体(監理支援機関)について、受け入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限、外部監査人の設置の義務化。 ・特定技能外国人の支援業務の委託先を登録支援機関に限定する。 外国人育成就労機構 ・外国人技能実習機構を外国人育成就労機構に改組、特定技能外国人への相談援助業務も行わせるとともに、監督指導機能や支援・保護機能を強化 |
現在監理団体として登録されていたとしても、監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可が必要となりますので注意が必要です。
⑥育成就労制度から特定技能制度への移行について
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・特定技能1号への移行は、以下を条件とする ①技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性があること ②特定技能1号試験+日本語N4 または ③技能検定3級等に受かっていること | ・特定技能1号への移行は、以下を条件とする ①技能検定3級等又は特定技能1号評価試験合格 ②日本語能力A2相当以上のレベル(日本語能力試験N4合格など) ※当分の間は相当講習受講も可 ・試験が不合格となった場合、再受験のために最長1年間在留継続できる ・支援業務の委託先は登録支援機関に限定、登録支援機関の登録要件や支援業務委託の要件が厳格化される |
特定技能1号への移行については、試験の合格が条件となっています。育成就労制度では不合格の場合も再受験のための在留継続が許されています。
また、登録支援機関への要件が厳格化され、支援実績や委託費等の開示が義務付けられること、キャリア形成の支援も実施となります。今後はより手厚く外国人のキャリア形成まで考えて支援ができる機関が重宝されるようになるでしょう。
⑦国・自治体の役割
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・各省庁の連携にばらつきがある。 ・自治体には、実習生の保護などが求められる | ・入管、機構、労基署等が連携して不適正な受入れ・雇用を排除。 ・制度所管省庁は、業所管省庁との連絡調整等の制度運用の中心的役割を担い、業所管省庁は受け入れガイドライン・キャリア形成プログラム策定などの役割を担う。 ・日本語教育機関を適正化、日本語学習の質を向上する。 ・自治体は地域協議会への積極的な参画等により共生社会の実現、地域産業政策の観点から、外国人材受け入れ環境整備等の取り組みを推進。 |
各省庁の連携にばらつきがあることが課題とされていましたが、今回の報告書では各省庁の役割が明記されることになりました。
⑧送出機関及び送出しについて
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・悪質な送出機関が存在 | ・原則二国間取決め(MOC)を作成した国から受け入れ。 ・送出機関の認定・費用透明化・違反排除を送出国政府と協力して徹底 |
また、今までは不透明だった手数料も、きちんと透明性高く運用するよう明示されています。不当な高額請求やキックバックなどを行う悪質な送出機関に対する取り締まりを強化する方針です。

⑨日本語能力の向上対策
| 旧制度 | 育成就労制度 |
| ・本人の能力や教育水準の定めはない | 就労開始前: ・日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格 または相当する日本語講習を認定日本語教育機関等において受講することが求められる。 ・また、受け入れ機関は1年経過時までに同試験および技能検定試験基礎級等を受験させること。 ・3年間の育成就労期間の中で、日本語A2レベル到達を目標としていること 特定技能1号移行時: ・技能検定試験3級または特定技能1号評価試験合格 ・日本語能力A2(N4)合格 特定技能2号移行時: ・特定技能2号評価試験合格/日本語能力B1相当の以上の試験(N3)合格 ※受け入れ機関が積極的に日本語教育に取り組むためのインセンティブを設ける |
優良受け入れ機関の認定要件に、日本語教育支援の取り組みが入るなど、日本語教育への比重がより重くなったことが見て取れます。特定技能2号取得までに段階的に日本語レベルを上げていくことも求められています。
これらの内容については、出入国在留管理局の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」、「技能実習制度及び特定技能の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」、「育成就労制度運用要領」の資料より引用・編集しています
また、現行の制度と新制度についての比較については、下記の通りで出入国在留管理庁より公開されています。

育成就労制度に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 育成就労制度はいつから始まりますか?
A. 育成就労制度は 2027年(令和9年)4月1日から施行予定 です。
2027年以降、新規の外国人受け入れは原則として「育成就労制度」に一本化されます。
現在の技能実習制度は発展的に解消されるため、今後は「技能実習を受け入れるかどうか」ではなく、育成就労制度でどう人材を確保・育成するかを考える必要があります。特に、将来的な特定技能1号への移行を前提とした人材戦略が重要になります。
Q2. 育成就労制度では転籍(転職)は可能ですか?
A. 育成就労制度では一定条件のもとで転籍が可能になります。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍ですが、新制度では以下の条件を満たす場合に認められます。
- 原則1年以上の就労実績
- 技能検定試験や日本語試験への合格
- 転籍先企業が適正要件を満たしていること
これにより、外国人の人権保護が強化されます。
企業側にとっては、「長く働きたいと思ってもらえる職場環境づくり」 がより重要になります。
Q3. 育成就労制度に向けて企業が準備すべきことは?
A. 育成就労制度に対応するため、企業が今から準備すべきことは主に3つです。
① 特定技能移行を前提とした育成計画の設計
3年間で特定技能1号水準に到達することが制度目的です。
② 日本語教育への取り組み
就労開始前から日本語能力基準が設定され、3年間でA2(N4)水準到達が目標とされています。
日本語支援に積極的な企業は、優良受入れ機関として評価される可能性があります。
③ コンプライアンス体制の強化
育成就労制度では、
- 不適切な労務管理
- 違約金の設定
- パスポート保管
などが厳しく禁止されています。制度変更は単なる名称変更ではなく、企業の受入れ姿勢そのものが問われます。
育成就労制度によって大きく変わる、受け入れ企業の対応についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
まとめ
以上が、育成就労制度についてのまとめでした。こちらはSMILEVISA独自に情報収集・まとめをしておりますので、正確な情報や最新の動きについては必ず出入国在留管理庁までお問合せください。
育成就労制度は、従来の技能実習制度と比べて、在留期間・技能試験・日本語要件・転籍制限期間・特定技能への移行タイミングなど、企業側が管理すべき項目が増加します。
こうした制度変更に対応するためには、外国人材ごとの在留期限や手続き状況を可視化し、管理を属人化させない仕組みづくりが重要です。
当社では、特定技能・育成就労外国人の人材情報や期限、定期報告を一元管理できるクラウドサービスSMILEVISAを提供し、人事担当者の負担軽減と、制度対応の抜け漏れ防止をサポートしています。
特定技能外国人の受入れを検討している企業様は、こちらよりぜひお気軽にご相談ください。

※本記事は現時点(2026年2月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。