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みなさんこんにちは!
SMILEVISAです。
SMILEVISAとして日々様々な受け入れ企業様と接していると、多くの企業さんが「特定技能の自社支援について知らなかった」「そもそも委託管理が当たり前だと思っていた」と口をそろえておっしゃることが多いです。
今回は、特定技能を登録支援機関や組合に委託せず、自社で管理をする「特定技能の自社支援」についてわかりやすく解説していきたいと思います。
特定技能を管理委託せず、自社で管理する「自社支援/自社管理」とは?
特定技能外国人の管理について、登録支援機関や組合に管理委託しなくてはいけないと決まっている・・・とお考えの方が多いのですが、実は出入国在留管理庁では特定技能外国人は「管理委託」か「自社で支援/管理する」か選べると特定技能外国人受入れに関する運用要領によって公表されています。
もともと技能実習生を受け入れていた企業では、技能実習生は必ず監理団体にお願いしないといけないという決まりから、特定技能についても登録支援機関や組合に管理委託しなくてはいけないのでは?と考えている方が多い傾向にあります。
特定技能外国人の自社支援(自社管理)とは、その名前の通り、特定技能外国人の定められた支援活動を登録支援機関や組合に委託せず、受入れ企業の担当者が行うことを指します。
特定技能外国人は、出入国在留管理庁より、「必ず仕事上や生活上の支援を行うこと」が義務付けられています。これを登録支援機関や組合にお願いする場合は管理委託、お願いせずに受入れ企業が行っていく場合は自社支援(自社管理)となります。
「自社支援(自社管理)」にはどんなメリット・デメリットがある?
それでは、受入れ企業側にとって、自社支援(自社管理)をするとどのようなメリットがあるのでしょうか。
受入れ企業が特定技能外国人を自社支援(自社管理)した場合は、主に下記のようなメリットがあります。
- 委託管理費がかからない
- より多く&より良い特定技能外国人を雇用可能
- 雇用した外国人の定着率が向上
- 外国人とより密にコミュニケーションを取ることができる
- 特定技能外国人の管理ノウハウが蓄積され、今後も安定的に受け入れができる
- 各種手続きを社内で行うため書類の内容の整合性の担保や進捗管理がしやすくなる
一方、デメリットとしては下記があります。
- 自社支援での受け入れには知識が必要になる
- 受け入れノウハウを獲得するのに時間がかかる
- 支援業務に手間がかかる
特定技能の自社支援(自社管理)のメリットとデメリットについては、こちらの(【どっちがお得!?】特定技能の自社支援VS登録支援機関へ委託のメリット・デメリットを比較してみた)記事で詳しく解説しています。
特に、管理費の大幅なカットという面で受入れ企業にメリットが多いため、近年では受入れ企業が自社支援(自社管理)へ切り替えるケースが増加しています。
管理費の削減効果などについては、こちらの記事で解説しています。
「自社支援(自社管理)」に必要な要件は?
自社支援(自社管理)についてメリットとデメリットが理解出来たところで、実際に自社支援(自社管理)をすべての受入れ企業が始めることができるのでしょうか?
答えから言えば「NO」ということになります。出入国在留管理庁では、受入れ企業側が登録支援機関や組合を利用せず、自社で特定技能の管理を行うためには最低限満たすべき要件があると公表しています。
しかし、その要件についてはそこまで難しいものはなく、多くの受入れ企業で適切な準備さえ行えばスタートできるものと言えるでしょう。
具体的に、出入国在留管理庁で公表されている自社支援(自社管理)の主な条件は以下の通りです。(※わかりやすくするため、簡単に記載をしています)
要件①2年以内に中長期在留者(外国人)の受入れ実績がある
これまでに技能実習や特定技能外国人、技術・人文知識・国際業務等の就労資格のある外国人を受け入れたことがあるかどうかが重要となります。
過去2年以内に、これらの外国人を受け入れていればOKです。注意点としては、日本人の配偶者や留学生といった身分系の在留資格は含まれないこと、2年間の雇用の継続性は求められてないことです。仮に1年前に初めて特定技能を受け入れした場合でも実績としてカウントされます。
要件②十分に理解できる言語による支援体制が用意できる
受け入れ企業では様々な国籍の特定技能外国人を受け入れていますが、受け入れている外国人の日本語能力について十分でない場合は、通訳翻訳を用意する必要があります。通訳翻訳ついての詳細は本記事後半で解説しています。
要件③支援の実施状況に係る文書の作成・保管ができる
特定技能外国人の在留資格の申請書類や、定期面談、定期届出、随時届出等の書類について適切に保管ができれば問題ありません。こちらは紙ベースではなくとも、オンライン上での保管かつ、必要な時に印刷ができればOKです。
要件④支援の中立性が確保的出来る
登録支援機関に管理委託していた際は、第三者からの管理・支援ということになり中立性がありましたが、自社で特定技能外国人を支援する場合は中立性が確保できるかどうかがチェックされます。
例えばですが、特定技能外国人の支援担当者が直属の上司であったり、同じ業務を行う同僚であったり、社長の親族であったりする場合は中立性が確保できないため、人事や総務、事務職のスタッフが支援担当者になるケースが多いです。
支援担当者がいない場合についての解決法は本記事の後半で解説しています。
要件⑤支援実施義務の不履行がない
こちらは出入国在留管理庁で定められた法律や決まりごとに沿って運営していれば問題ありません。
要件⑥定期的な面談の実施に関するもの
特定技能外国人を受け入れる場合、定期的な面談が必須となります。これを「定期面談」と呼びますが、詳しくはこちらの記事にて解説しています。→【特定技能】特定技能外国人との定期面談とは?行う時期や報告書の作成方法まで解説!
他にもいくつか条件はありますが、法律違反や外国人に対する文書が保存できないといったよほどのことがなければ自社支援(自社管理)の条件を満たす受入れ企業がほとんどとなります。
登録支援機関なしで自社支援をする場合の受け入れ企業が満たす要件については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
「自社支援(自社管理)」で発生する業務は?
特定技能外国人の受入れを自社でできる、となった場合、おそらく多くの受入れ企業にとっての疑問は「自社支援(自社管理)」した場合は、いったいどんな業務が発生し、どのくらいの時間が必要だろうか?という点ではないでしょうか。
出入国在留管理庁の特定技能の運用要領で定められている「必ず行うべき支援業務」は下記の通りです。
- 入国前の事前ガイダンス
- 入国時の迎えと帰国時の見送り
- 住宅確保の補助
- 在留中の生活オリエンテーション
- 生活に必要な日本語の習得
- 相談・苦情の対応
- 各種行政手続きについての情報提供
- 日本人との交流の促進
- 転職支援(企業側の都合で解雇した場合)
- 定期的な面談や行政機関への通報
またこのほか、書類業務が発生します。主な書類業務は以下の3つです。
- 在留資格申請書類の作成・提出
- 定期報告書類(3か月に1回)の作成・提出
- 随時報告書類(転職や雇用条件変更等)の作成・提出
上記の業務を受入れ企業の担当者が行っていく形になりますが、支援業務については受け入れ初回のみであったり、何か問題が発生した際の対応となりますのでそこまで四六時中対応が必要となるものではありません。
また、書類業務に関しては、全て出入国在留管理庁ではフォーマットが公開されています。しかし、行政へ提出する書類となりますので量が多く、手続きが煩雑になることがあるため、可能であれば自社支援(自社管理)を始める際に便利な特定技能外国人の申請書類管理システムなどを導入しておくと業務に割く時間が減り、グッと楽になるでしょう。
これらの内容を支援担当者が行うことになりますが、おおよその業務はスポットでの対応となります。そのため、具体的にこのくらいの時間がかかると計算するのは難しくなっていますが、多くの受入れ企業ではパート・アルバイトを活用したり、総務や人事の担当者が兼任するなどしています。
自社支援(自社管理)をするうえで、必要な業務内容の詳細についてはこちらの記事(特定技能を自社支援する場合、実際に何をすればいい?発生する業務をわかりやすく解説)/ (特定技能を自社支援に切り替えるとどんな業務が発生する?業務内容について解説!)にて紹介しています。
「自社支援(自社管理)」はどのようにして始めたらいい?
ここまでで、受入れ企業で自社支援(自社管理)を始める!と決めた場合に、具体的にはどのように動いていけばいいのでしょうか。ここでは、準備に必要な内容と、期間についてよくあるパターンをご紹介します。
自社支援(自社管理)に切り替えるおすすめのタイミング
これまで登録支援機関や組合へ委託していた場合、どのタイミングで自社支援(自社管理)に切り替えればいいのでしょうか?主なパターンとしては以下の通りです。
- 特定技能外国人を新しく雇用したタイミング
- すでに雇用している特定技能外国人の在留資格更新のタイミング
- 定期報告のタイミング
多くの受入れ企業では1と2のタイミングで切り替えるパターンが多いのですが、特定技能の新規雇用の予定が当分なかったり、更新がまだまだ先である場合は3の定期報告のタイミングで切り替えるケースがあります。
定期報告については年に4回ありますが、報告対象の期間が決まっているためその期間を区切りとして自社支援(自社管理)に切り替えると登録支援機関からの引継ぎなどもスムーズです。定期報告についてはこちらの記事(【自社支援】特定技能の定期届け出(定期報告)とは?方法と必要な書類・手続きについて解説!)で解説しているのでご参考まで。
また、現在雇用している外国人を一気に自社支援に切り替えるのは不安…という場合は、1名ずつ自社支援へ切り替えていく方法もあります。その場合は管理団体の契約も継続しつつ、新しく雇用した外国人から段階的に自社支援へ切り替えていく受入れ企業様も多いようです。
具体的なタイムスケジュールと準備は?
例えば、2024年9月1日に特定技能外国人の新規採用を機に自社支援をスタートしたい!となった場合の準備期間や、やるべきことについて、スケジュールは下記のようになります。
2024年5月 | ・支援担当者の決定 ・通訳翻訳の手配 ・事前ガイダンスの実施 ・特定技能外国人管理システムの検討・契約 |
2024年6月 | ・受け入れ予定の外国人の在留資格申請書類の準備と提出 |
2024年7月 | ・特定技能外国人の送迎手配 |
2024年8月 | ・在留資格申請許可がおりる ・特定技能外国人の来日 ・住居の手配など |
2024年9月 | ・特定技能外国人の入社 ・生活オリエンテーション ・自社支援(自社管理)開始を出入国在留管理庁へ報告(書類の提出) |
こちらは海外から特定技能外国人を呼び寄せる場合のため、やや早めから自社支援(自社管理)の準備を始めていますが、すでにいる技能実習や特定技能外国人を切り替える場合や、定期報告のタイミングで切り替える場合は1~2か月から準備をスタートしてもよいでしょう。
受入れ企業が特定技能の自社支援(自社管理)を始める場合は、出入国在留管理庁へ随時報告という形で書類を提出すれば完了となります。切り替えの手続きについてはこちらの記事(【特定技能/随時届け出】自社支援へ切り替える場合の届け出マニュアル)で解説しています。
中には登録支援機関としてのライセンスが必要なのでは?と不安に思う受入れ企業もありますが、受入れ企業内の特定技能外国人を自社支援(自社管理)の場合は取得する必要はありません。
自社支援(自社管理)の条件や準備、スケジュールや便利ツールの導入についてはSMILEVISAにお気軽にご相談ください!
特定技能外国人の「自社支援(自社管理)」に関するよくある質問
特定技能の自社支援(自社管理)を始めるにあたり、多くの受入れ企業が直面する問題があります。ここでは、よくある問題と解決方法について、下記まとめました。
Q1.社内に通訳・翻訳ができる人材がいないのですがどうすればいいですか?
Q1の回答:
自社支援(自社管理)をするにあたり、特定技能外国人の日本語能力が十分でない場合は通訳・翻訳を提供しなければならないという決まりがあります。その場合、多くの受入れ企業では通訳・翻訳の専属スタッフが在籍していない、というほうが大多数です。
しかし、出入国在留管理庁では「フルタイムの通訳・翻訳」を求めているわけではなく、「必要な時に手配ができる」という点を求めていることに注目しましょう。つまり、常に社内に通訳・翻訳がいる必要はないということです。
アルバイトやパートで通訳を雇う、リモートで通訳・翻訳サービスをしている会社と契約して利用するという方法でこちらは解決が可能です。
解決法については、こちらの記事(【自社支援】特定技能外国人の通訳翻訳はどうしたらいい?方法や費用について詳しく解説)にて詳しく解説しています。
Q2.社内に支援責任者/支援担当者がいない場合は?
Q2の回答:
中小企業などでよくある悩みとして、家族経営であったり、従業員数が少ない場合は支援担当者がいないという問題が起こります。
その場合についての対策は下記の通りです。
- すでに雇用している事務員や他部署の従業員を兼任として支援担当者にする
- 新しく支援担当者を雇用する
この場合、1のすでに社内にいる従業員に支援業務を兼任してもらう場合は、業務量などを踏まえて社内調整が必要となりますが、調整が出来れば解決となります。
また2の新しく雇用する場合については、出入国在留管理庁では安定して業務ができる担当者が理想としながらも、フルタイム・パートタイムの指定は特に行っていません。
そのため、特定技能外国人の数が1~5名など少ない場合はアルバイトやパートとして採用をし、必要な時に業務にあたってもらうという方法を取る受入れ企業が多くなっています。
支援責任者/担当者についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Q3.これまで就労系の在留資格を持つ外国人を雇用したことがない場合は?
Q3の回答:
自社支援(自社管理)をしたいと希望する受入れ企業のほとんどが、これまで技能実習や特定技能外国人を受け入れていた企業を占めますが、中には特定技能外国人をいきなり雇用する、というパターンもあります。
特定技能については、条件を満たせばこれまで外国人を受け入れたことがない企業であっても受け入れることができます。
しかし、その条件というのが先ほどご紹介した「これまで技術・人文知識・国際業務や、技能実習生や特定技能外国人をある程度の期間にわたり受け入れた経験がある(登録支援機関や組合に委託している期間を含む)」というのがポイントです。
もし受入れ企業が、就労系の在留資格を持っている外国人をこれまで一度も受け入れた経験がない場合には、残念ながら、受け入れ企業はいきなり自社支援(自社管理)をスタートすることができません。
しかし、まずは登録支援機関などに管理委託をお願いし、半年~1年程度たってから自社支援(自社管理)に移行すればOKです。
この場合にも受け入れ経験にカウントされるので、自社支援(自社管理)の条件をクリアできるということになります。しかし、登録支援機関へ委託していた場合はノウハウがない場合も多く、いきなり自社支援(自社管理)を始めるのは不安という声が多いため、SMILEVISAでは自社支援(自社管理)を始める受入れ企業のためのサポートプランもご用意しています。
Q4.これまで登録支援機関に委託していた特定技能外国人の在留資格申請の書類作成ができるかどうか不安なのですが、どうしたらいいですか?
Q4の回答:
特定技能外国人の書類作成については、すべてフォーマットが用意されており、出入国在留管理庁やヘルプデスクに問い合わせをすればすべて回答してもらうことができます。
しかしながら、毎回質問をするのはかなり時間がとられてしまい大変なので、受け入れ企業によっては特定技能外国人の書類作成、管理が自動でできるシステムを導入するなどの工夫を行っています。
Q5.空港送迎など一部だけ支援委託機関に任せつつ、自社支援に切り替えたいのですが可能ですか?
Q5の回答:
はい、可能です。登録支援機関に完全委託から一部委託に変更&自社支援を始める場合は、自社支援切り替えの届け出と、支援計画変更に関わる届出の両方が必要になります。
Q6. 特定技能の受け入れを自社支援に切り替えた場合、社内の従業員が特定技能外国人の代わりに出入国在留管理庁へ書類の提出はできますか?
Q6の回答:
はい、可能です。しかし、特定技能外国人本人に代わって出入国在留管理庁へ書類の提出を行う場合は取次申請者として認められる必要となります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。→【特定技能受入れ企業向け】特定技能の申請業務を本人の代理で行う申請等取次者とは?手続きの方法も解説
「自社支援(自社管理)」を成功させた受入れ企業の事例
最後に、自社支援(自社管理)を成功させた受入れ企業についての事例をご紹介したいと思います。自社支援(自社管理)への切り替えは、それぞれ受入れ企業の状況や予算、スケジュールによって大きく異なります。
あくまで参考とはなりますが、受け入れ企業が自社支援(自社管理)に切り替えた理由やスケジュール、その後などが掲載されているのでぜひ参考にしてみてください。
「自社支援(自社管理)」に関するお役立ち情報
そのほか、下記の記事では自社支援(自社管理)をするにあたり役に立つ内容や、注意点などもご紹介しています。
- 特定技能の自社支援にはどんな方法がある?実例をもとに詳しく解説!
- 【担当者必見!】どこが違う?特定技能の自社支援に成功する企業・失敗する企業の違い
- 【特定技能】自社支援に切り替えた時につまづきやすいポイントを解説!
- 【完全版】特定技能を自社支援で受け入れる完全マニュアル【最新】
また、登録支援機関なしで自社支援を始める場合に具体的にどのようにすればいいのか無料セミナーで解説も行っています。
SMILEVISAではこれから特定技能を自社支援で受け入れていきたい、特定技能の管理費を大幅にコストカットしたい、書類の申請を効率化したい!とお考えの受入れ企業様向けの特定技能管理システムを提供しています。
自社支援の開始に自信がない方でも、問題なく自社支援に切り替える伴走サポートもございます。当社をご利用した100%の企業様が自社支援を成功させています。特定技能の自社支援をご検討の方は、ぜひこちらよりお気軽にご相談ください!
※本記事は現時点(2024年8月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。