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2024年問題を迎え、物流業界はかつてない人手不足の時期に直面しています。ドライバーの時間外労働規制強化により、各運送会社では輸送能力の確保が大きな課題となっており、人手不足の深刻化は業界全体に広がりを見せています。
こうした状況を背景に、国は「特定技能制度」を活用し、即戦力となる外国人ドライバーの受け入れを本格的に進めています。しかしながら、特定技能を受け入れるためには、「自動車運送業分野の特定技能協議会」への加入が必須となっています。
本記事では、最新の制度動向を踏まえながら、協議会の概要、加入手順、そして注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。特定技能ドライバーの採用を検討している運送会社の担当者や人事ご担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は受け入れ企業を対象とした記事となっております
特定技能の自動車運送業分野とは?
現在様々な分野で特定技能外国人の受け入れが進んでいますが、「自動車運送業分野」は、2023年から特定技能の対象業種に追加されました。
深刻化するドライバー不足対策として制度が作られましたが、現時点(2025年4月)においては下記の業種が対象となっています。
- 特定技能1号(トラック)
- 特定技能1号(タクシー)
- 特定技能1号(バス)
特定技能2号への移行についてはまだ認められていませんが、今後認められる可能性もあります。特定技能1号の詳細についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
自動車運送業分野の協議会について
自動車運送業分野特定技能協議会は、特定技能1号の在留資格を持つ外国人労働者の受け入れを円滑に進めるため、国土交通省が設置した団体です。
この協議会は、受け入れ企業(特定技能所属機関)や登録支援機関の構成員としての資格を管理・認証し、適切な支援体制の構築を目的としています。
協議会への加入は、外国人労働者の受け入れに必要な要件の一つとなっているため、自動車運送業分野で特定技能外国人を受け入れる場合は必ず加入が必要となります。
自動車運送業分野の協議会で行われる活動
- 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
- 受入れに係る人権上の問題等への対応策の検討
- 特定技能所属機関及び登録支援機関(以下「特定技能所属機関等」という。)に対する法令順守の啓発及び指導
- 特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関等が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な検討)
- 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
- 地域別の人手不足の状況の把握・分析
- 上記を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏での受入れの自粛要請や特定技能所属機関による他の機関に雇用されている特定技能外国人の引抜きの自粛要請等を含む。)
- 自動車運送業分野における生産性向上や国内人材確保のための取組の調査・啓発
- その他、前条の目的を達成するために必要な情報・課題の共有、協議等
引用:国土交通省「自動車運送業分野特定技能協議会規約」より抜粋
自動車運送業分野における協議会の構成員
自動車運送業分野においては、下記が構成員として参加しています。
- 有識者
- 自動車運送業分野に係る特定技能所属機関
- 自動車運送業分野に係る登録支援機関
- 自動車運送業事業者団体
- 試験実施機関
- 警察庁
- 法務省
- 外務省
- 厚生労働省

自動車運送業分野の協議会に加入する流れ
自動車運送業分野における協議会の流れは下記の通りです。
①国土交通省のWebサイト(自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて)へアクセスする
②受け入れ企業用のフォームにをクリックし、必要事項を入力・送信する

③届出内容の確認が完了次第、記載したメールアドレス宛に協議会構成員資格証明書を送付
以上で協議会への加入が完了します。フォームはGoogleフォームを使用しており、特定技能外国人の国籍・地域及び人数や、働きやすい職場認証登録番号とGマーク取得事業所認定証番号が必要となるため事前に準備しておきましょう。
自動車運送業分野の協議会へ加入する際の注意点

自動車運送業分野の協議会についての注意事項としては下記の通りです。
自動車運送業分野の協議会への加入は、在留資格申請の前に終える必要がある
自動車運送業分野特定技能協議会加入手続きは、在留資格申請を行う前に完了させる必要があります。特定技能の在留資格申請時に、「協議会の構成員であることを証明する書類」の提出が求められるためです。
この証明書の発行には一定の期間(通常1〜4週間)かかる可能性があるため、受け入れが決まった時点で、余裕を持って加入手続きを済ませておくことが重要です。

受け入れの終了や、届け出内容の変更がある場合は再度フォームの送信が必要
受け入れの終了時や、届け出内容に変更が出た場合は、再度同様にWebフォームより届け出が必要となります。
届け出内容の変更についての例は下記の通りです。
- 特定技能所属機関(受入企業)名称
- 所在地
- 代表者
- 電話番号(代表番号)
- 担当者
- 電話番号(担当者)
- e-mailアドレス(担当者)
- 特定技能外国人が従事する業務内容
- 特定技能外国人の主な就労場所(名称)
- 特定技能外国人の主な就労場所(住所)
- 特定技能外国人の主な就労場所で行われている産業
- 登録支援機関名称
- 特定技能外国人の国籍・地域及び人数
これらの内容に変更が生じた場合は、[第3号様式]自動車運送業分野特定技能協議会構成員変更届出書より変更届を提出しましょう。
特定技能の受け入れが終了(今後受け入れる見込みがない場合)は、[第7号様式]自動車運送業分野特定技能協議会退会届出書を提出しましょう。
まとめ
特定技能制度の対象として新たに加わった自動車運送業分野は、慢性的な人手不足に悩む物流業界にとって、即戦力となる外国人材を受け入れる重要な選択肢です。
手続きには時間がかかることもあるため、早めの準備と正確な情報収集が成功のカギとなります。これから特定技能制度を活用し、外国人ドライバーの採用を進めようとしている運送会社の皆様は、制度の全体像を理解し、協議会のルールをしっかり確認したうえで、計画的に進めていきましょう。
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※本記事は現時点(2025年5月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。