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みなさんこんにちは!SMILEVISAです。
特定技能外国人を受け入れている企業の担当者の方が、一度は耳にするであろう「脱退一時金」。
こちらは日本人にはあまりなじみがありませんが、外国人のほうが制度をよく知っていて、初めて聞いて慌てて調べる…ということがありませんか?
今回は、この特定技能外国人からよく聞かれる「脱退一時金」とは何なのか?そしてその申請はどのようにするべきか、そして脱退一時金の申請に伴う退職の注意点などについて解説します。
脱退一時金とは?

おそらく、日本で生活する日本人にとっては脱退一時金という言葉はあまりなじみがありませんが、特定技能外国人にとっては重要な制度としてよく知られています。
この「脱退一時金」とは、日本の国民年金及び、厚生年金保険に加入している外国人が、ある一定の条件を満たせば一時金を受け取れる制度なのです。
今回の記事では、企業で働く特定技能外国人のケースを対象としているため、厚生年金に加入をしている外国人の場合について解説しています。

このある一定の条件とは下記の通りです。
- 日本国籍を有していないこと
- 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でないこと
- 厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6か月以上あること
- 老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていないこと
- 障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがないこと
- 日本国内に住所がないこと
- 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していないこと
この条件からすれば、現在受け入れている特定技能外国人が企業で厚生年金に加入し、6か月以上働いている場合は、ほとんどのケースでこの脱退一時金の手続きがしたいと申し出がある可能性があります。
そうなると、6か月ごとにやめられたら困る!という声が上がってきそうですが、脱退一時金は加入期間が長くなるにつれて支給額が上がっていくため、基本的に6か月で請求する外国人はほとんどいないと言ってよいでしょう。
日本年金機構では、下記の通りの計算式で厚生年金の脱退一時金の支給額を定めています。
被保険者であった期間の平均標準報酬額※1×支給率(保険料率×2分の1×支給率計算に用いる数)※2
※1 被保険者期間であった期間の平均標準報酬額は、以下のA+Bを合算した額を全体の被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。
A 2003年(平成15年)4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額
B 2003年(平成15年)4月以後の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額※2 支給率とは、最終月(資格喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1月~8月であれば、前々年10月の保険料率)に2分の1を乗じた率に、被保険者期間の区分に応じた支給率計算に用いる数を乗じたものをいいます。(計算の結果、小数点以下1位未満の端数がある場合は四捨五入します)
日本年金機構「脱退一時金の制度」より引用

図:日本年金機構「脱退一時金の制度」より引用
脱退一時金は、60か月で上限に達します。そのため、もし60か月(およそ5年間)に達しても脱退一時金の申請をしない場合は、それ以上の額である一時金が受け取れなくなってしまうので、外国人としてはそのタイミングで退職し、脱退一時金の手続きがしたいと希望するケースが多いです。※現在(2025年7月)、2025年6月20日~4年以内に施行予定として、支給上限を今後8年に引き上げるという案も出ています。
しかし、退職して本国に帰国したり転職する場合を除き、ほとんどの外国人は以前と同じ受け入れ企業で働きたいと希望する場合が多いため、受入れ企業としては退職の手続きをし、再度同じ外国人を雇用するという流れになります。ただし、退職手続きという扱いになるため、現在加入している社会保険を一度抜く必要があることに留意しましょう。
脱退一時金の手続きは?
先ほどの脱退一時金の申請をすることができる条件として、日本国内に住所がないことがありました。つまり、脱退一時金の手続きをするには、会社を退職し、一度住民票を抜いて、日本を出国する必要があります。また、日本を出国後2年以内に請求することが必要です。

脱退一時金の手続きについては、基本的に外国人がすべて行うことになります。万が一どのようにしたらよいか聞かれた場合は、こちらの日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」を確認し、サポートしてあげるとよいでしょう。
請求書については、2023年6月時点では、英語/中国語/韓国語/ポルトガル語/スペイン語/インドネシア語/フィリピノ(タガログ)語/タイ語/ベトナム語/ミャンマー語/カンボジア語/ロシア語/ネパール語/モンゴル語に対応しているため、外国人本人が記入することができます。
特定技能外国人が会社を辞めた時の手続きは?

特定技能外国人が脱退一時金の手続きのため退職したいと申し出た場合は、受入れ企業側は退職の手続きを行います。その場合は、特定技能外国人の随時報告という形で出入国在留管理庁へ報告をしましょう。→退職の随時報告についてはこちらで詳しく解説
そして特定技能外国人の一時脱退金の手続きが完了し、再び同じ受け入れ企業で働きたいという申し出があった場合は、再度、随時報告にて出入国在留管理庁へ報告を行います。その際の随時報告については、こちらの記事で解説しています。
→一度退職した特定技能外国人を同じ企業で再雇用は可能!?その場合の手続きは?
脱退一時金の注意点は?

外国人が脱退一時金の申請をする際には、いくつか注意点があります。
- 年金脱退一時金の申請から還付されるまで約5か月~6か月かかります。
- 書類に不備があった際には本国の連絡先に連絡が行き、追加書類など求められることがあります。
- 申請が受理される前に日本へ再入国してしまうと、書類不備で受理されません。受理後は再入国して問題ありません。
- 一時金の還付の際には本国へ通知書が送られます。
この中で特に注意すべき点として、申請が受理される前に日本に再入国した場合は、脱退一時金の申請の受付ができない点です。脱退一時金の申請は、日本国外に居住していることが条件となりますので、実際に受理されたかどうかについては、年金事務所まで電話などで確認を取りましょう。
基本的には年金事務所に申請してから数日以内には受理されることになりますが、書類の不備等があった場合は受理がされていないというケースもあります。
そのため、日本へ再入国を希望する場合は必ず事前に確認を取っておきましょう。受理の確認には、基礎年金番号や日本に居住していた際の住所、生年月日等が必要になります。
もし不明な点があれば、直接問い合わせすることもできます。日本年金機構では外国業務グループを設置しているため、下記まで問い合わせてみましょう。
日本年金機構 (外国業務グループ)
〒168-8505 東京都杉並区高井戸西 3 丁目 5 番 24 号
電話番号:+81-3-6700-1165
また、今後については将来の年金受給に結び付けやすくするという趣旨の元で、脱退一時金について再入国許可付きの出国をした場合、当該許可の期間内に脱退一時金を支給しない方針がとられることが明らかになりました。再入国許可しないまま許可期限が過ぎた場合には、受給が可能となります。
一度帰国し、年金の受け取りまでにおよそ4か月程度で支払われますが、支払われるまで帰国している必要はありません。おおよそ1か月程度で書類が受理されれば、その後は日本に戻ってくることも可能です。(※2025年7月時点)その場合は、今後日本に戻ってくる場合は受け取りができなくなる可能性があるため注意しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1: 脱退一時金は技能実習も対象ですか?
はい、技能実習生も一定の条件を満たせば脱退一時金の対象となります。日本の厚生年金に6か月以上加入していた技能実習生で、帰国後2年以内に申請すれば、脱退一時金を受け取ることができます。
Q2: 脱退一時金の受給ができないケースにはどんなものがありますか?
脱退一時金の受給が不可になるケースとしては下記があげられます。
給付を受け取れないケース | 詳細説明 |
---|---|
年金加入期間が6か月未満 | 厚生年金または国民年金に6か月以上加入していないと申請資格がありません。 |
日本に再入国する予定がある場合 | 再入国許可や新たな在留資格を持っていると対象外になります。 |
申請期限(出国後2年以内)を過ぎている | 出国から2年を超えると給付の権利が失われます。 |
必要書類に不備がある、または不足している | 書類の記載ミスや漏れ、不足によって申請が受理されないことがあります。 |
すでに老齢年金などを受給している | 年金をすでに受給している人は脱退一時金を申請できません(重複受給不可)。 |
Q3: 脱退一時金の申請から振り込みまでどれくらいかかりますか?
提出した書類に不備や確認事項等がなければ、請求書の受付後、およそ4カ月後に支払いとなります。また、送金と同時に「脱退一時金支給決定通知書」が届くので確認しましょう。
脱退一時金の申請&報告業務は確実にしましょう
以上、特定技能外国人からよく申し出がある脱退一時金の制度についての解説でした。
脱退一時金の申請は、外国人の権利でもあります。そのため、申し出があった場合はスムーズに対応ができるように準備しておきましょう☆
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※本記事は現時点(2024年6月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。