みなさんこんにちは、SMILEVISAです!
厚生労働省の統計によると、外国人労働者の人数は令和6年12月末時点で約280万人超が雇用されており、過去最高の人数を更新しています。

【引用】出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」
日本にとって外国人労働者は必要不可欠な人材である一方で、上記のデータからも分かるように、離職率は半数以上とかなり高くなっているのが現状です。
外国人労働者に長く働いてもらうにはどうすれば良いのでしょうか。今回は特定技能外国人に長く働いてもらうために、受入れ企業が意識するポイントを解説します。受入れ企業の支援体制によって、外国人の離職率はグッと減らすことができます。ぜひチェックしてみてください!
特定技能外国人がすぐやめる理由とは?
せっかく採用した特定技能外国人が、数か月、早ければ数週間で「すぐやめる」。そんな悩みを抱える企業は少なくありません。その背景には、日本人の感覚では気づきにくい課題やギャップが隠れています。ここでは、これまでSMILEVISAが数多くの特定技能外国人を見てきた中で気づいた、早期離職につながる主な理由をいくつかご紹介します。
1. 仕事内容や労働条件のギャップ
「あらかじめ説明を受けていた雇用条件などが聞いていた話と違う」と感じるケースは、離職理由として非常にポピュラーなものになっています。
たとえば:
- 最初は簡単な作業だと思っていたのに、想像以上に多くの業務を任せられることになった
- 残業や休日出勤、夜勤等が多く、ワークライフバランスが取れない、体調を崩してしまった
- 雇用契約書と実際の勤務内容・待遇が一致しない(よくあるのは額面と手取りのギャップ等)
こうしたギャップがあると、「このまま働き続けるのは無理だ」と判断されやすくなります。また他により好待遇や自分に合った職場が見つかった場合に転職してしまうことになります。
2. コミュニケーションの壁
日本語能力に課題がある外国人にとって、母国語ではない言語で、職場でのやりとりは大きなストレスになることがあります。
- 上司からの指示がうまく読み取れずミスばかりしてしまう
- 他の同僚と雑談ができず輪に入れない
- 日本語能力が足りないため、上司に自分の悩みを十分に相談できず、一人で思い悩んでしまう
言葉の壁は、孤立感や不安感につながり、結果として他の同じ国籍が多い職場や日本語サポートが手厚い企業への転職にに直結することもあります。
3. 受け入れ企業の支援不足
特定技能外国人は、言葉も文化も異なる日本で生活基盤から構築しなければなりません。住居、銀行口座、病院、スマホ、買い物、インターネットなど、様々な部分で不安が大きい傾向にあります。受け入れ企業は、特定技能外国人への支援が義務として定められていますが、近年登録支援機関に任せている方大丈夫、と丸投げしてしまっているケースも目立ちます。
しかし実際には十分にサポートを受けられないと感じている外国人が、生活に不安や不便が生じ、仕事に対するモチベーションも低下します。
4. 人間関係の問題や職場の雰囲気
特定技能外国人や日本人の間においても同様ですが、職場内での人間関係は、外国人にとって非常に重要な要素です。
- 上司が厳しすぎる(国によっては叱責や注意などの仕方が異なる場合がある)
- 職場が冷たく、話しかけにくい雰囲気(日本語が分からないから、と距離を置かれる)
- 外国人に対して差別的・無理解な態度がある
こうした環境では、特定技能外国人は居心地の悪さを感じ、「ここで働き続けるのは難しい」と早期に見切りをつけてしまうケースもあります。
このように、「すぐやめる」背景には、必ず理由があります。多くの場合、それは企業側が少し意識を変えることで改善できる内容です。本人の適応力だけに頼るのではなく、企業としての受け入れ体制やサポートのあり方を見直すことが、長期雇用への第一歩となります。
そのため、下記では、特定技能外国人を多くサポートしてきた経験から受入れ企業側でどのような工夫ができるのかをまとめました。
特定技能の離職率を減らすためにできることは?
特定技能外国人の「すぐやめる」を防ぐには、職場環境やサポート体制の見直しが欠かせません。仕事内容の理解促進、生活支援、日本語フォローなど、企業側の小さな配慮が定着率を大きく左右します。この章では、離職率を下げるための具体的な取り組みを紹介します。
対策その①雇用条件についての不満や疑問を解消する
外国人に長く働いてもらうには、雇用条件の不満や疑問をどれだけ解消できるかが重要です。具体的には次のような疑問が生まれやすいです。
- 最初に聞いた給料と振り込まれた金額が違うのはなぜ?(額面と手取りの違い)
- ほかの外国人が先に昇給したのはなぜ?
- 育児のための休暇をとるにはどうすればいい?
- もっと働きたいのに働けないのはなぜ?
上記の疑問点は採用するときの雇用条件について、外国人が理解できるような説明がされていないために起こりやすいです。
外国人の雇用条件については募集の段階で、
- 業務内容
- 契約期間
- 就業場所
- 就業時間・休日
- 賃金
- 労働・社会保険事項
について外国人が理解できる母国語に翻訳し、丁寧に説明しましょう。雇用条件を変更する場合も内容を比べられる書面を用意し、相手が十分に理解できるように説明してください。

※原則、雇用条件を変更するには従業員の同意がなければできません。受入れ企業と雇用する外国人が互いに納得したうえで行いましょう。
特定技能外国人の申請の際に、雇用条件書を必ず翻訳し、外国人本人からサインをもらうことが義務付けられています。しかし、思っていた内容と違う!と感じるのは、日本独特の制度を理解してないからともいえます。
外国人が理解できるような説明ができていれば雇用に対する不満は減り、納得して働ける環境へとつながります。例えば、給与の額面と手取り額や、控除とは何か?保険加入制度やメリット、労働時間の上限など詳しく説明しておくとよいでしょう。
対策その②人間関係などの社内の雰囲気を改善する

文化が違う日本での生活は、外国人にとって慣れないことが多いです。加えて人間関係についても悩みを抱えているケースが多くあります。日本においても、離職の原因は職場の人間関係が上位にランクインしているため、外国人においても例外ではないでしょう。
- ハラスメントを受けていると思うがどうすればいいのか
- 社内に悩みを相談できる人がいない
外国人に長く働いてもらうには、雇用条件に加えて人間関係に悩まない社内の雰囲気作りが重要です。外国人が離職する大きな原因となる雇用条件と人間関係について、悩みを解消するための具体的な取り組みについて解説していきます。
外国人の離職を防ぐ5つのポイントを具体的な取り組み事例とともに紹介します。
1.企業の社員と外国人の距離を縮める
企業の社員と外国人の距離を縮める取り組みは重要なポイントではないでしょうか。まわりに相談できる人がいる環境をつくることで、離職率は減らせます。
具体的には「同期入社の外国人と日本人社員がペアを組んで働く」といった取り組みを行う企業もあります。
ペアを組むことで研修中や仕事中にわからないところをすぐにフォローでき、外国人が安心して働ける環境づくりにつながります。一方で、日本人社員にとっても英語力やコミュニケーション能力の向上につながり、お互いにとってメリットがあるといえます。
社員と外国人の仕事での距離が縮まるだけでなく、飲み友達になるなどのプライベートでの親交も期待できます。
2.社員旅行や交流イベントを用意する
慣れない職場で孤独を感じる外国人は、モチベーションが下がってしまい離職につながりやすいです。
社員旅行や交流イベントを用意することで上司・部下の関係だけでなく、横のつながりが作られるのではないでしょうか。外国人が「ずっとこの企業で働きたい」と感じてもらえるような企画を考えましょう。
具体的には下記のような交流イベントを行っている企業があります。
3.家族や友人を会社に招待できるオープンイベントを開催する
自分の働く会社を知ってもらうことで「自分はすばらしい企業で働いている」という自覚が生まれます。家族や友人に自分の職場を知ってもらえるのは、外国人にとってモチベーションアップにつながります。(例:職場参観、地域のイベントへの参加、ランチ会、BBQなど)
4.社内コミュニティやクラブに参加してもらう
育児中などの同じ境遇にある人と情報交換ができるコミュニティや、同じ趣味を持った人が集まるクラブに参加して、さまざまなイベントを開催します。

特定技能外国人に対する支援には、日本のコミュニティに参加ができるように促すという項目があります。例えばですが、職場の飲み会に無理のない範囲で参加をしてもらったり、日本の地域のお祭りや、交流イベントの紹介なども積極的に行うとよいでしょう。
対策その③特定技能の自社支援で外国人に寄り添った体制を作る

特定技能外国人の支援に関しては、自社で支援するか、登録支援機関に管理委託することができます。
支援の中で、特定技能外国人の離職率を下げるために効果的な方法として、定期的な面談(3か月に1回)と相談苦情の対応をしっかり行うことです。
定期的に担当者と面談をすることで外国人は普段の悩みや問題を打ち明ける機会ができ、トラブルの早期発見につながる大事な役割を果たしています。
登録支援機関に委託している場合は、外部のスタッフが面談を担当し、終われば帰ってしまいますが、受入れ企業が自社支援する場合は社内のスタッフが面談を担当するため、継続的に密なコミュニケーションをとることができる上、安定した信頼関係を築くことができます。
何か問題が起こった際も、社内で連携して解決ができるため、自社支援することによって離職率を下げることができます。
自社支援については下記の記事で詳しく解説しています。
対策その④福利厚生を充実させる
誰しも、少しでも待遇の良い会社で働きたい!と考えているのではないでしょうか。会社の福利厚生を充実させることにより、社員が長く働くモチベーションを生み出すことができます。
1.スキルに合わせて昇給できるキャリアプランを提供
採用時は納得していた給与についても、働いているうちにまわりの人と比べて「昇給が遅い」といった不満が出てくる場合があります。
昇給のポイントとしては、日本人と差別がないこと、昇給に必要なスキルと現在のキャリアプランを比較しながら外国人が納得できるような説明が求められます。
また、他社に就職したほかの外国人から話を聞き、現在働いている企業より待遇がよさそうだと感じると転職を考える場合もあります。そのため、将来のキャリアプランや収入がどのくらい増えるのか、福利厚生がどのくらいあるのかなど説明しておくとよいでしょう。
2.英語や日本語試験による昇給や手当を支給
外国人にとって、日本語を使いながら働くということは大変なことです。しかし、企業の中には、日本語や英語の資格試験に合格した場合、昇給や手当、ボーナスを支給するという取り組みをしているところもあります。
外国人にとって、日本語や英語の上達のモチベーションにもなり、業務も円滑に進むことから取り入れている企業も少なくありません。

3.安定した賞与(ボーナス)の支給
日本では賞与を出すことが義務ではありませんが、海外では法律で義務付けられている国もあります。外国人にとって賞与が充実しているほど頑張ったと実感でき、今後のやる気にもつながるのではないでしょうか。
とはいえ日本の企業では、会社の業績によって賞与が出ない場合もあります。
賞与に対して外国人が不満に感じないように、今年度はどのような理由でいつ出るのか・出ないのか、金額についても納得できるように説明しておきましょう。
4.育休・産休の充実
現在政府では、男女ともに育休取得をするように促しています。しかし、まだまだ男性に関しては育休を取りづらい雰囲気があることも否めません。しかし、男女ともに、妊娠出産や育休に関わる企業からの不利益な取り扱いについては法律で禁止されています。
特定技能外国人にも長く働いてもらえるよう、日本人社員と同様、外国人にとっても育休が取得しやすい環境を整えたり、周囲のサポート体制や理解を得られるようにするとよいでしょう。
特定技能外国人の妊娠出産については下記の記事で詳しく解説しています。
5.病院・役所の手続きのサポート
外国人にとって日本に来てから様々な手続きを行う必要があります。日本人にとっては当たり前の役所での手続きや、病院の手続きについて、外国人にとってはわかりづらく、ハードルの高いものです。
登録支援機関へ委託しているから大丈夫、と考えていても、なかなか連絡が取りずらかったり、すぐに来てくれなかったりということもありえますので、可能な限り迅速に対応できるようにしてあげると会社で働く安心感につながります。
自社支援を行っている企業においては同じ企業内の社員が担当することも多いため、コミュニケーションを密にとり、社内にいつでも相談できる世話役がいる、という安心感を与え、離職率を下げることにつながります。
6.家具や家電の購入サポートをする
特定技能外国人を受け入れている企業においては、寮を準備したり、賃貸マンションやアパート、一軒家を借りて住まわせる場合が多いでしょう。最初からすべて生活に必要な家電がそろっている場合は問題ありませんが、もしない場合は、大型家電の購入サポートがあると外国人にとってはうれしいポイントになります。
外国人は来日したばかりの場合、家電をどこで購入したらいいか分からない、入国時にすぐに用意できないなどの理由で相談に来るパターンが少なくありません。
家電の購入については最初からすべて企業側で用意する場合もありますが、購入時のサポートを行いその後はお給料から分割で控除という方法もありますが、今後も長期的に外国人を受け入れる場合は企業で購入し、貸出などにする方がよいでしょう。
対策その⑤研修制度を充実させる

研修制度の充実は外国人が業務内容について理解を深め、働きやすい環境をつくるために重要なポイントです。
研修制度を充実させることで仕事のスキルについてはもちろん、社内ルールや日本語能力、外国人の生活に関するものなどさまざまな面からサポートできます。
具体的には、社内研修制度や、技術のスキルアップができるような講習の機会を提供する、書籍購入制度などがあります。
また、受入れ企業は下記の労災防止対策についての研修を行い、基本的な日本語や合図などを習得してもらいます。
- 安全衛生教育の実施
- 労働安全衛生等関係法令の周知
- 労働災害防止のための日本語教育等の実施(努力義務)
- 労働災害防止に関する標識・掲示等(努力義務)
外国人労働者の生活面については、外国人が気になる下記の内容についての研修を行い、どのような支援体制があるのかを伝えます。
- 日本の文化や習慣・風習など
- 社会活動や社会行事への参加
- 行政・医療・金融などの情報
外国人がスキルアップできる!と実感することによって、受入れ企業で長く働きたいというモチベーションにつながるでしょう。
また、語学学習の機会の提供または講習費用のサポートについても、希望する外国人は少なくありません。特定技能2号へ移行したり、永住権を目指しながら長期滞在を考えている外国人にとっては日本語の学習も大事なポイントです。
企業によっては、自社に日本語講師を招いたり、日本語学校への通学やレッスン費用を助成したりするところもあります。詳しくは下記の記事にて解説しています。
対策その⑤外国人を平等に扱う
外国人を平等に扱うことは、雇用契約後はもちろん募集・採用の段階から、国籍などによる差別をしてはいけません。公平な選考方法ののち採用し、労働条件の差別もしてはいけません。
労働条件の具体的な内容はかならず書面を用意し、必要であれば外国人の母国語に翻訳して説明することが必要です。
給与については、
- 最低賃金以上の支払いがされているか
- 食費や住居費など賃金からの控除は不当な額になっていないか

などの内容で、日本人と差別にならないように注意しましょう。
もしも外国人が不当な扱いを受けたと感じたときに、社内だけでなく行政に相談できる窓口を紹介しておくことも大切です。
特定技能外国人雇用で注意したいこと

①日本人にあたりまえのことでも外国人には理解できない部分がある
わたしたち日本人にとってはあたりまえの雇用条件や法制度についても、外国人には理解できなかったり詳しく知らなかったりといった部分があります。
外国人雇用では母国語の使用や社内ルールの背景を含めた説明など、外国人が納得できるように伝えることが大切です。
②不満が大きくなる前に対処する
外国人労働者はさまざまな悩みやトラブルを抱えていても、相談できずにため込んでしまうケースがあります。
不満が大きくなると最終的には離職を選んでしまう結果につながるため、早めに対処できる環境づくりが重要です。具体的には、定期面談や相談苦情の際にきちんと話を聞く、相談窓口の設置や日本人社員の声かけによるフォロー体制などがあります。
外国人労働者の不満や悩みを減らすために、受入れ企業全体で協力していきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. なぜ特定技能外国人は「すぐやめる」ことが多いのですか?
A. 多くの場合、仕事内容や職場環境に対する認識のズレ、日本語の壁、生活面の不安などが原因です。入社前の丁寧な説明と、入社後のフォローが不足していることが離職につながっています。また、特定技能外国人は転職が比較的容易であるため、ここがだめなら他に行けばいい、という動機が働きやすいこともあります。他社の条件などの情報も同じ国籍の知り合いから耳に入りやすいため、待遇の良さなども大きく関係しています。
Q2. 離職率を下げるために、企業がすぐにできる対策はありますか?
A. あります。たとえば、定期的な面談の実施、日本語支援、生活サポート(住居、銀行口座、各種契約等)、職場内の相談窓口の設置など、定められた支援計画をちゃんと実行することはもちろんのこと、特定技能を自社で管理することにより特定技能外国人との距離が縮まり、よりきめ細やかな対応をすることができます。これにより、特定技能外国人に働きやすいと思ってもらえる可能性も高まります。
Q3. 特定技能外国人にキャリアアップの機会を与えることは離職防止に効果がありますか?
A. はい、非常に効果的です。特に特定技能外国人は滞在できる期間が定められていることから、将来の長期滞在可能性や昇給、ボーナスなど様々な面において見通しが立たないと「ここで働き続ける意味がない」と感じて離職につながることがあります。スキル習得の支援や、リーダー職へのステップアップの道を示すことで、モチベーションと定着率の向上が期待できます。
企業の取り組みによって特定技能外国人の離職は減らせます!
以上、特定技能外国人に長く働いてもらうためには何をすればいいのか、離職を防ぐポイントについて解説しました。
受入れ企業には「外国人労働者の雇用管理の改善の努力義務」があります。外国人の離職はしょうがないことではなく、受入れ企業の取り組みで防ぐことができます。
今回お伝えした外国人に起こりやすい不満・疑問を理解して、外国人が働きやすい企業の支援体制をつくっていきましょう!
SMILEVISAではこれから特定技能を自社支援で受け入れていきたい、特定技能の管理費を大幅にコストカットしたい、書類の申請を効率化したい!とお考えの受入れ企業様向けの特定技能管理システムを提供しています。
自社支援の開始に自信がない方でも、問題なく自社支援に切り替える伴走サポートもございます。当社をご利用した100%の企業様が自社支援を成功させています。特定技能の自社支援をご検討の方は、ぜひこちらよりお気軽にご相談ください!

※本記事は現時点(2025年6月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。